夜桜に昔の恋の物語を思う | 府中まちコム
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作成日 2014.04.02

この記事の分類 府中絵日記, 自然・動植物

夜桜に昔の恋の物語を思う

桜通り、夜桜2014年4月2日(水)
 雨の桜通り、農業高校付近。人の気配はまるでなく、ときおり通りすぎるクルマのライトも妙に寂しく感じる。

 今年は花見の会の約束もなく、出そびれていたので、散ってしまう前に見ておかなければと、傘を手に外に出てみたのだが、この寒い夜に花見をする人はいないようだ。

 雨に打たれて散る花びらを見て、昔の人の詠んだ歌を思い出した。

 春さらば かざしにせむと 我が思ひし
 桜の花は 散りにけるかも (万葉集巻十六)
 (春が来たらかんざしにしようと思っていた桜の花は散ってしまった。)

 桜児(さくらこ)という名の娘が二人の男に言い寄られて悩んだ末に死んでしまったのを嘆いて歌ったと言われている。桜というのはなぜか悲しい逸話を想起させる。

(田中則夫)