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作成日 2015.06.07

この記事の分類 府中絵日記

押立公園のフリーマーケット

押立公園フリーマーケット2015年6月7日(日)
 府中に来て最初に住んだのが車返団地。引っ越し荷物が部屋に入りきらず、ベランダに山積みのまま不自由な暮らしを続けていた我が家にとって、地続きの押立公園で開かれるフリーマーケットは嬉しいイベントだった。

 あのとき不本意ながら手放したワイングラスやインテリア小物を、新しい持ち主は気持ちよく使ってくれただろうか。値札作り、見知らぬ人と交わした会話、値段交渉。フリマの興奮がよみがえる。

 久しぶりに訪れた押立公園のフリマは、しかし、少し寂しい気がした。盛況だった昔の面影はない。人だかりがしている一部の売り場を除き、おおかたは「ときめきを感じない」と仕分けされたモノの集積場だ。これが今どきのフリマなのか。

 けれども昔を懐かしがってもしょうがない。我が家が越してきた当時は、崩壊したバブルの残滓がヒトにもモノにもまだ濃密に存在していたというだけのことだ。

 50円と書かれた段ボール箱に無造作に詰め込まれた子供服を品定めする母子連れ。
「使ってくれるなら、これ上げちゃうわよ」
 売り手の元気な声に笑いの輪が広がる。

 老人たちは会場を取り巻く木陰のベンチに座って、人の流れをただ静かに眺めている。おだやかな初夏の一日が暮れる。

(関口まり子)