関東医療少年院見学会 | 府中まちコム
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作成日 2012.10.19

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

関東医療少年院見学会

関東医療少年院の前庭2012年10月19日(金)
 地域住民の理解と協力をお願いするためという趣旨の見学会が関東医療少年院で開かれた。新町の東八道路沿いにあるこの施設はうっかりすると見過ごしてしまうくらい、ひっそりと木立の中に隠れている。地域のママさんバレーボールチームが体育館を訪れているとはいうが、参加者のほとんどは、私も含め、内部を見るのは初めてだ。

 1997年に神戸で起きた連続児童殺傷事件は、犯行の特異性はもとより、犯人が中学生であったことでも世間に衝撃を与えた。その少年を人間として再生させるという難しい仕事を担ったのがこの医療少年院であることは地元ではよく知られている。

 説明を一通り聞いてから、建物内部や少年たちの作品展示物を見て回った。人影がなかったら廃墟と勘違いするのではないかと思うほどレトロで質素。手術室も治療室も昭和の町医者の雰囲気が漂っている。

 それもそのはず、平成28年に昭島市に完成予定の複合施設に移転することになっているため、新たな補修は行わない由。跡地がどうなるのか、地元民としてはそっちの方が気になってしまう。とはいえ、加害少年のほとんどが虐待や社会的孤立に苦しめられた被害者でもあるという重い現実を知らされると、のんきに跡地のことなど想像している場合かとも思う。

 病気の種類も、従来の内科や外科という領域が減って、精神疾患、特に薬物依存症や境界型の人格障害が増えているとのこと。完治困難な病気を抱えている子供が多い。

 指導教官たちの献身的な努力には頭の下がる思いだが、院内で人間らしさを取り戻しても帰るべき居場所がないという実情を知ると暗澹とする。私たちにとっても決して住みよいとは言えない世の中の現実。いったい私たちにできることは何なのだろう。

(関口まり子)