府中駅南口再開発工事現場

2016年6月30日（木）
　定点観測を意識しているわけではないが、京王線府中駅ホームからいつも多摩川方面を眺めている。多摩の横山が文字通り横に青々と連なっている風景に癒やされる思いがしていた。それがここ数年ですっかり変わり、ビルの隙間から見える山は横ではなく縦に細く切り取られている。知らない人が見たら山とは気付かないだろう。

　駅南口の再開発工事はかなり進み、建物の全容が見えてきた。ここに飲食店や古本屋や履物屋やおもちゃ屋など小さな店がひしめき合っていたとは、そのうち思い出しもしなくなるだろう。

　新しい風、新しい波はよい方向へと私たちを連れて行ってくれるのだろうか。工事現場にそびえ立つクレーンの先にわずかに覗ける空を眺めながら、ふと考えたりしている。

（田中則夫）