ネギ畑を探して

2020年12月13日（日）

ネギの畝売りに申し込んだら抽選に当たった。

畑まで自転車で20分ほど。現場の地理に詳しくはないが近くに何度か行ったこともあるし、おおよその見当はつく。荷かごに道具を放り込み、調子よく繰り出した…が目的地周辺に肝心の畑がない。土の見えるところに行ってみるとネギはわずかだったり、空地だったり。

収穫許可書の裏面に印刷されている地図が不鮮明だったのでスマホの地図アプリで検索したが所在地が何丁目何番までしか書かれておらず、拡大すればするほどピンポイントの対象がずれていく。だんだん焦り始めたとき、通りがかった若い男女から「どこかお探しですか」と声をかけられた。近くに住んでいるらしい。

2人とも、あっちだこっちだと地図を逆さにしてみたり、自分のスマホまで動員したりして数分後、「ああ、わかった、そこのT字路を右に行けばすぐですよ」と、まるで自分ごとのように嬉しげに叫んだ。

「お時間をとらせてしまい、すみません」と言うと、
「いやいや、ぜーんぜん」
若夫婦（たぶん）は笑顔を残して去った。

コロナ感染拡大がもはや災害と言われるほどの状況になっている今どきは他人の親切がいつもの数倍身にしみる。

（関口まり子）