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作成日 2014.06.01

この記事の分類 府中の仲間たち

定年後の男の生き方を探る ー 池田英雄さん

池田英雄さん

2014年6月1日 中河原駅近くの喫茶店で

■父子家庭生活で知った家事の大切さ
定年を迎えた団塊世代には、生活の自立ができぬまま家族から粗大ゴミ扱いされている人もいれば、積極的に家事や孫の世話を引き受け、地域活動にも参加して充実した毎日を送っている人もいる。池田英雄さんの場合は、妻を早くに亡くし、それまでやったこともない家事をやらざるを得なくなった。

「富岡製糸工場や富士山なんかには行きたくもありませんね」

世間の流行に迎合するのは嫌なのだという。ひねくれ者と言うべきか、反骨精神旺盛と言うべきか、とにかく、人のあとにはついていかない主義。小学生の子供二人を育て上げるまで頑張ったのも、持ち前の独立独歩精神に突き動かされたからなのかもしれない。

が、突然始まった父子家庭生活によって、「家事は女の仕事」という固定観念は否応なく崩れ去った。

■ ひとり親家庭の環境改善をめざして
子供を背負ってスーパーで買い物をする若い男性の姿は今でこそ珍しくなくなったが、当時は奇異に見られていた。ひとり親家庭の社会的地位向上を目指す会に参加したときも、父子家庭はまだ珍しく、マスコミに大々的に取り上げられ、組織の発展に貢献した。広報を担当して表現技術を磨き、本も出した。

長く続けた活動から退いたのは、会が本来の趣旨をそれて婚活サークル化したことに憤慨したからだという。

「喧嘩っ早い性質ですから。気に入らない人を追い出していくうち、誰もいなくなってしまったんです」

真顔で語るが、発足当初の使命を終えたというのが本当のところのようでもある。子育ての区切りもついた。そして定年後、新たに挑戦したのが男性ヘルパーの仕事。

■ 男性ヘルパーの草分けに
「父子家庭で身につけた家事の技術を活かせると思ったんです。料理は食べられさえすればいいという考えなんで、特別な技術があるわけでなし、もっぱら家事援助ですが」

男性ヘルパーも、始めた当時はまだ珍しい存在だった。「ヘルパーは女の仕事」という偏見が、依頼する側にも根強く、それは今でもあまり変わっていない。

■ シニアの生きがいと夢
ヘルパーの仕事は、必要とされる限りは続けたいと思う。男性であろうと、高齢者であろうと、きっと誰かの役に立つはずだ。登録している福祉団体からの仕事の依頼は、しかし、近頃間遠になりつつある。高齢を慮って団体側が大変そうな仕事を回さないかららしい。

「仕事が減って、遊んでいます」

けれども、相変わらず朝は同じ時刻に起きて、何かやらずにはいられない。会社や団体活動での経験を通じて身につけたパソコン技術を活かして、今はホームページ作りに勤しむ。もともと絵を描くのが好きで、散歩の折々に撮った写真やCG作品をサイトで披露している。熱中すると時間の経つのを忘れる。

「もう歳なんだから、のんびりしたらと言う人もいるけれど、そういうのが一番キライ」

好奇心の赴くまま、世界各地を旅して回った。目下のテーマは武蔵野の崖線めぐり。特に古多摩川は調べるほどに興味が増し、おもしろくてしょうがない。
同好の仲間はいない。

「友達はいません。誰とも話は合いません」

またまた真顔できっぱり言い放つが、ありふれた質問が来るを見越して先回りしているようにも見える。いくつになっても、状況に流されることなく、自分の意思で道を切り開いていきたい、夢を忘れずに。

著書 『やってやろうぜ男の自立』など
ウェブサイトhttp://akanegumo22.sakura.ne.jp 

(聞き手:関口まり子)