亡き友を偲びに「磯乃香」へ

2014年5月15日（木）
　農工大の斜向かいにある寿司屋「磯乃香」のサービスランチを晴見町に住む知人から勧められたのはだいぶ前のことだった。

　今頃になって行ってみる気になったのは、折り込みチラシに「子浦」の文字を見つけたからだ。南伊豆のそのひなびた漁師町に一度だけ家族と遊びに行ったことがある。

　子浦への旅を勧めてくれた友人とは生涯学習センターのプールで知り合った。人にぶつかるのも構わず、デタラメに泳ぐので、
「このレーンは一方通行です」
と注意すると、猛烈にまくしたてられた。ああ、だから東京の人間はイヤだ、こんな、四角い洗面器みたいなところで泳いでいるから了見が狭くなるのだ、海には一方通行のルールなんてありゃしない。
「ここは海ではありませんっ」
と私も怒鳴り返し、そしてその後、私達は急速に親しくなった。

　もし彼女が生きていたら、きっとこの店を目ざとく見つけて、「うまい魚を食べに行こう」と私を誘うことだろう。

　店の主人は自ら釣ったという伊勢海老やカサゴの写真を見せてくれた。子浦の魚は最高だという。彼女が聞いたら、だからアタシの言った通りでしょうと、また自慢気にふるさと子浦の思い出を語り続けたに違いない。

磯乃香
府中市晴見町3-3-26-1階
042-367-6060
不定休
http://www.isonoka.com

（関口まり子）