東郷寺 | 府中まちコム
府中まちコム

この記事について

作成日 2013.03.17

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

東郷寺

東郷寺の枝垂れ桜2013年3月17日(日
 東京の桜開花宣言を耳にして、ぶらっと大国魂神社に行ったら境内のしだれ桜がちょうどよい感じで咲いていた。

 この分ならきっとと思い、大国魂神社の裏手から八幡町緑地、清水が丘緑地を抜け、東郷寺へ。ゆるやかな起伏を登ったり降りたり、休まずに歩くとじわっと汗ばむ程度の穏やかな散歩日和。

 東郷寺の桜は大国魂神社に比べるとずっと背の高い大木で、花の色も白っぽい。満開になっていない木もあるが、咲くのを待ちかねてか、見物人がひっきりなしに訪れては記念撮影をしていく。

 石段を上がって山門に立つと多摩川を挟んだ向こうの山々の稜線がくっきり見えた。山門の先はそのまま墓所が続いており、この寺がかなり高低差のある場所に建っていることがわかる。

 東郷平八郎の別荘がかつてこの地にあったという。司馬遼太郎の『坂の上の雲』原作のテレビドラマに、東郷の隠居所を誰かが訪ねるシーンがあったような気がするが、それはもしかして府中だったのか。

 大国魂神社から東郷寺までの道々、旧跡案内の碑をいくつか目にした。馬の取引が盛んだったとか、崖下にワサビ田が広がっていたとか、清流に水車がいくつも回っていたとか。

 黒沢明監督の『夢』に出てくる「水車のある村」のような風景が、そう遠くない昔、ここら一帯に広がっていたのだろうか。ここに隠居所を建てて野良仕事をするなんて、今なら究極の贅沢かも。

(関口まり子)