ピートン講話 | 府中まちコム
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作成日 2012.09.15

この記事の分類 府中絵日記, 講座・スクール

ピートン講話

農工大の圃場になるピートン2012年9月15日(土)
農工大の社会人向け農業教室に、府中市に越してきてからたびたび参加している。途中で制度が変わり、「お得感」は多少薄まったが、講義と実習という形態は変わらない。もらった苗はほとんど枯らしてしまうという劣等生の私でもそれなりに学ぶことは多い。

今年度秋の講義は、石鹸作り、ピートン2世の収穫と利用法、ジャム作り。本日は2回目のピートンだ。講師は農工大名誉教授の柳下先生。

育種は交雑による遺伝子の組み換えによってしか成立しないという定説に異議を唱え、ピーマンにトウガラシを接ぎ木して、獲得形質の遺伝を確かめるという研究を、先生は今も続けている。
「苦節50年とか言われるけど、なにしろ1年に1回しか収穫できないんだから、たった50回しか調べていないんだよ」

学会でなかなか認められなかったらしい。ちょっと偏屈に見えるのはそのせいか。けれども淡々と話すその苦労話に受講生は聞き入った。

研究を始めた頃は、虫による受粉を防ぐため、透明の傘袋を無料でもらってきて苗木にかぶせ、その袋をしばるのに水でぬらした毛糸を利用したという。接ぎ木や交配を重ねてもなかなか甘い実が採れず、甘いのを見つけたら単位をやると言って学生に食べさせたとか。からい実にあたってしまった学生は大変だったらしい。

ピートンを試食後、圃場に出て赤く熟れたピートンを各自収穫して土産にもらった。形はピーマンだが肉厚で、トマトのような甘味がある。サラダにも菓子にもと応用範囲が広く、なにより栄養価が高い。ピーマンと同じように露地栽培できるところが農薬漬け温室栽培のパプリカとは違うという。

残念なのはまだ店頭に出回っていないということだが、そのあたりをどう解決していくのか、興味が残った。

(関口まり子)