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作成日 2019.01.03

この記事の分類 府中絵日記, 映画評

『ボヘミアン・ラプソディ』


ボヘミアン・ラプソディ

2018年1月3日(木)

 府中のTOHOシネマズで『ボヘミアン・ラプソディ』を見た。1970年代から80年代にかけて人気を博した英国のロックバンド「クイーン」を、リードボーカルのフレディ・マーキュリーに焦点を当てて描いた伝記映画。

 宗教、民族、学歴、容貌にまつわる複雑な思い、家族との軋轢、友情の絆、成功と挫折、創作の苦しみ、致死の病、同性愛の葛藤など、広く浅く「盛られた」筋立てに加え、「感動」を連呼する宣伝文句に煽られて、観客動員数ウナギ登りとか。めでたいことだ。

 近くの席にいた50代と覚しき夫婦が見終わった後「しびれたねえ」と囁きあっていた。彼らにとってクイーンはたぶん懐メロ。だが彼らより前の世代の私にはその音楽が逆に新鮮に思えた。

 美空ひばりやテレサ・テンなら、先生と呼ばれる作曲家と作詞家、そして天性の美声と歌唱力を持つ歌手によって後世に歌い継がれる名曲が生まれるというパターンが想像される。クイーンの場合は全員でアイデアを出し合い、対等の立場で意見を述べ合う。命令も服従も指導も忖度もない。互いに刺激し合うことでさらに新しいアイデアが生まれ、楽曲が作られ、容易には真似のできない演奏へとつながっていく。そのプロセスが小気味よい。

 この映画の本当の主役は音楽なのだな。音楽の力、恐るべし。

関口まり子