インテリジェントの桐 | 府中まちコム
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作成日 2019.05.01

この記事の分類 府中絵日記, 自然・動植物

インテリジェントの桐

2019年5月1日(水)

 数日前に日鋼団地を通りかかったとき、インテリジェントパーク側に一瞬、桐の並木を見たような気がした。

 もう何年も前、府中市美術館に友人たちを案内したとき、一人が館の前に聳え立つ木を指差し、嬉しそうに叫んだ。「あっ、桐の花が咲いてる」

 つられて見上げると、木の高いところに紫色の花が房をなして咲いていた。それまで桐と言えば箪笥か家紋くらいしか知らなかった。実は植物にあまり興味がなかったのだが、それをきっかけに木や花に目が行くようになったのである。

 府中に越して来たばかりの頃、インテリジェントという名の施設があることを知って驚いた。「あそこは府中の霞が関のようなもんだな、エリート集団が働いているんだ」と近所の人が誇らしげに教えてくれた。当時バブルはとっくに崩壊していたから、他人事ながら、こそばゆい気がしたものだ。

 今日あらためて、そのインテリジェントパークに、桐の花を確認しに行った。先日降った雨のせいで花は路上にクタっと散らばっていた。並木だと思ったのは塀際に立っていた数本の木で、施設ができる前から立っていたのか、それとも建設時に植えられたのか不明だが、桐は奥ゆかしく、しかも堂々と咲いていた。

(田中則夫)