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作成日 2020.04.06

この記事の分類 映画評

『三島由紀夫VS.東大全共闘 50年目の真実』

2020年4月6日(月)

 コロナ渦中、東宝シネマズ府中へ。先月『パラサイト』を見たときの観客は20人ほどだった。今日は7人。感染のリスクは前より少ないかも知れないが、採算は合うのかと他人事ながら気を揉んでしまう。

 映画はテレビ局に保存されていた、全共闘学生対三島由紀夫討論会の実写フィルムを元に作られたという。討論会が開かれたのは1969年5月。同年1月の安田講堂攻防戦で学生達が白旗を挙げて降参し、一人も死のうとしなかったことに三島は不満を表していた。その当人を招いての集会だ。このときすでに自決計画が彼の念頭にはあった。画面を通して緊迫した空気が伝わってくる。

 激しい応酬が続く中で三島は言う。
「私は諸君の熱情は信じます。これだけは信じます」
 翌年の11月25日、彼は割腹自殺を遂げた。

 三島はあらかじめ懇意の出版社にはからって最良のアングルで自分を撮るよう仕組んでいた。つまりこの映画は、三島由紀夫作・演出・主演の最後の作品なのだ。舞台に赤ん坊が登場することまでは想定していなかったろうが。けれども、この遺書が50年後に公開されることは見越していたかも知れない。

(関口まり子)