桜の植替え工事 | 府中まちコム
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作成日 2020.10.15

この記事の分類 府中絵日記, 自然・動植物

桜の植替え工事

2020年10月15日(木)

桜通り、府中公園通り、郡役所通りで、老齢化した桜の植え替え工事が始まる。幹に空洞ができ、樹皮に苔がびっしり生え、強風の日にあちこちで折れた枝が散乱しているのを目にしていたので、いよいよ来たかと思った。

今年の春はコロナ騒ぎで花見どころの気分ではなかった。今思えば、もっと楽しんでおけばよかった。が、桜は花の季節だけではない。夏には、高さ数メートルに及ぶ大木の連なる通りは、まるで緑のトンネルをくぐり抜けているようで暑さ凌ぎにもってこいだし、葉が色づき始める今頃の季節は、遠くからでも深まりゆく秋を感じることができる。

倒壊の危険もある老木を取り除くのは当然のこととは言え、別れの切なさと愛着を感じるのは、必死に踏ん張っているその姿が後期高齢者と分類される我が身と重なって見えてしまうからか。

新たに植えられる桜は枝が横に広がりにくいコシノヒガンという品種だそうだ。植替えに伴い、根の隆起により生じた歩道のでこぼこも解消されるだろう。スマートな若木が取って代われば、また別の楽しみが生まれるのかも知れない。せめて今しばらくは老木の一本一本に感謝しながら、別れを惜しむことにしよう。

(田中則夫)