『病と障害と、傍らにあった本。』 里山社分倍河原で売れている本 01  | 府中まちコム
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作成日 2021.01.20

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『病と障害と、傍らにあった本。』 里山社
分倍河原で売れている本 01 

2021年1月20日(水)

『病と障害と、傍らにあった本。』
12人の病の当事者、介護者による、本と病と障害、生きることにまつわる書き下ろしエッセイ集。病や障害の名でくくれない固有の症状や想い。誰かと分かち合うことのできない時間の傍らにあった本について書かれている。

コロナ禍以降誰しもが少しは「病」について考える時間があったはず。子どもの頃に風邪をひいて親が看病してくれた思い出。生活に影響のある身体の不調。生まれつきの、あるいは後天的な障害。中年を過ぎて治りにくくなった擦り傷。老年になって、ただの風邪でもとても辛い。病に倒れた有名人の報道。知人の死。病とまったくかかわらずに生きていくことはできないし、そのあり方は本当にそれぞれだ。

今は色んな娯楽がたくさんあるけれど、本は、ダントツに手軽で、本のタイトルに「読んだ本」ではなく「傍らにあった本」とあるように、「ただそこにある」だけでもいい、静かで優しいものだ。

本で病気が治るわけじゃない。元気づけられるものもあるだろうけれど、そういう単純なことではなく、病の横に本があることで、私たちが救われる意味を、この本は教えてくれる。

(小林えみ)