『「家庭料理」という戦場』コトニ社分倍河原で売れている本 02 | 府中まちコム
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作成日 2021.02.03

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『「家庭料理」という戦場』コトニ社
分倍河原で売れている本 02

2021年2月3日(水)

『「家庭料理」という戦場 暮らしはデザインできるか?』
料理をつくるのは好き、という人でも一度は「ご飯を自分で準備し、調理して、後片付けをやること」が「めんどくさいなあ」と思ったことがあるのではないだろうか。まして3食毎回ならその大変さは「戦場」のようでもある。著者は文化人類学者なので、他のテーマであれば、この方の本を手に取らないような方も、この本のタイトルをご覧になって「ああ」というように本を開かれるのは「家庭料理が戦場??」という疑問ではなく「そうそう戦場だよね、それについてこれは何を書いてるんだろう」という共感の気持ちからではないだろうか。

本書はその「大勢が少しは感じている違和感」をていねいに言語化していく。「家庭料理」という分野がどのように歴史の中で規定されてきて、今のような形となって、なんだか負担になっているのか。

面白いのは、この「家庭料理」という事象を象徴する二人の人気料理家、小林カツ代と栗原はるみのレシピを実際につくって実食し、判定をくだす「対決」を実践しているコーナーだ。実際の勝敗は読んでいただくとして、なかなか壮絶なそのレシピ再現の様子自体が楽しめる。

これを読んで、自分自身、またそれぞれの人にとっての「家庭料理」とは何なのか、ぜひ考えてみてもらいたい。

(小林えみ)