「測量地図作成という仕事で学んだこと、楽しかったこと」を聴いて | 府中まちコム
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作成日 2023.01.28

この記事の分類 府中絵日記, 講座・スクール

「測量地図作成という仕事で学んだこと、楽しかったこと」を聴いて

2023年1月28日(土)

プラッツで開かれたリベラルアーツの会主催の講座に参加した。講師は野々村邦夫さん、地図学の権威。

配布資料の中に昔の府中の地形図が載っていた。1924(大正13)年の甲州街道以北は一面の桑畑で、その中にぽつんと「山谷」という名の集落がある。1952年の地形図では「新宿山谷」、思わず声が出そうになった。たまたま図書館で借りていた民俗学者、宮本常一の本に、彼が住んでいた地として載っていたのが新宿山谷だ。後の名、新町。

新町にいっとき住んでいたことがある。当時は近くに芝生の圃場や造園業者の広大な植木畑があり、季節の移ろいを楽しんでいたのだが、だいぶ前なので住んでいたことさえ忘れかけていた。

あの辺りに、宮本常一が住んでいたとは。何もない町だと思っていた新町が、何だかすごい場所のような気がしてきた。

地図には不思議な力がある。ただの図面に過ぎないのに、眺めているとあれこれ想像が膨らんでくる。ときには人間社会のありようまで見えてくる。優れた文学作品を読んだときのような興奮を覚える。

地図を作るのは大変な作業に違いない。しかも終わりがない。けれども「楽しいんですよね」と講師。地図作りに魅せられた人の言葉、大いに納得。

(関口まり子)