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作成日 2026.03.31

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『翠雨の人』(伊与原新 著)を読む

2026年3月31日(火)

海洋放射能の研究により高い評価を受けた、日本の女性科学者の草分け、猿橋勝子、1920(大正9)年生まれ。女性は家庭に入るものと考えられていた時代に少女期を送るが、「雨はなぜ降るのだろう」という、幼い頃に抱いた疑問と探究心に導かれて科学の道を突き進んでいく。

女性であること、女学校卒業後しばらく勤め人生活を経て遅れて進学したこと、有名国立大学出身ではないこと、アメリカでは日本人であることなどで頭から見下す人も多い中、愚直なまでに信念を貫き、信望を得て、晩年は後進の育成にも努めた。

偉人の伝記物語にはあまり興味がなかったのだが一気に読んだ。この本を紹介してくれた友人に感謝。実は彼女の母上が猿橋の女学校時代からの友達として、毎回ほんの数行なのだが最後の方まで登場する。親交の深さがうかがわれて私も嬉しくなった。

猿橋が理学を学んだのは当時「帝国女子医専」の構内に新設された「理専」、今の東邦大学。すぐ隣の区立小学校は私の母校だ。母は難産が予想されたため、家からほど近い「医専」で私を出産した。私は保育器に入れられた。今生きているのは「医専」のおかげ。猿橋とは何の関係もないけれど。まあ、これも縁のうちでしょうか。

(関口まり子)