民家消失 | 府中まちコム
府中まちコム

この記事について

作成日 2023.04.27

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

民家消失

2023年4月27日(木)

京王線府中駅近くの高架下にあるバイク専用駐車場に久しぶりに行ったら、隣接地に幕が張り巡らされていた。解体工事の重機が作動している。

この地には確か、個人住宅が3軒ほど並んでいた。塀から頭をのぞかせている庭木や蔦をからめた窓格子、門柱の表札などがうっすら記憶に残っている。紛れもなく、何家族かがここで暮らしていた。

この先の国際通りを越えたすぐ右側には高層マンションが建築中だ。このあたり一帯は再開発の計画地域と聞いている。整地が済んだらここにもマンションか商業ビルが建つのだろうか。

昔、山手線の駅近くに住んでいた友人が、自宅周辺を取り上げた雑誌記事に「民家あり」と書かれているのを見て憤慨していた。周りにビルが建ち始めてはいたが、ごく普通の一軒家、苦労して建てたマイホームであった。今はもう、そこに住宅街があったことなど誰も知らない。住人達もすでにいない。

これを都市化というのだろうか。ビルの中であろうと高層階であろうと、人々の暮らしが続いていくことに変わりはあるまい。が、他者の生活の匂いを感じる機会は確実に減っていく気がする。生活の匂いもまた、時代とともに変わっていくのかも知れないが。

(田中則夫)