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作成日 2014.11.15

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

寿橋

寿橋2014年11月15日(土)
 本日快晴。階段の昇り降りがいやで敬遠していた歩道橋を、こんな日は渡ってもいいかと思えるほどに気持ちのよい朝、府中第一小学校校門前の歩道橋にさしかかる。階段を一歩上がりかけて、古い銘板に気がついた。「市制10周年記念事業 寿橋」とある。

 今年は市制60周年。つまりこの橋は50年前に架けられたのだ。しかも「寿橋」というめでたい名前までついていたとは、初めて知った。

 橋は宮西町側の階段の途中で急に細くなる。一人分の幅しかない。低学年の通学の列と出くわすと延々と待機することになる。特に雨の日は遠回りでも信号のある交差点を渡るべきと知ってからは利用することが間遠になっていた。

 しかし、橋の上から見渡せば、ゆるやかにカーブを描いて続く甲州街道の銀杏並木。「人に優しくない」歩道橋を撤去し始めた自治体もあると聞くが、道路の地上数メートルのど真ん中から眺める下の景色は見ていて意外と飽きないものだ。

 ときおり下を大型トラックが通ればぐわーんぐわーんと身体が揺れる。手すりの錆を撫でながら、ああ風雪に耐えて半世紀なのね、我が身の来し方に思いを馳せて溜息混じりの感慨にふける。晩秋の橋の上。

(関口まり子)