「夜は暗い」のを実感できる駅 | 府中まちコム
府中まちコム

この記事について

作成日 2015.12.01

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

「夜は暗い」のを実感できる駅

夜の白糸台駅2015年12月1日(火)
 5年前、白糸台駅にはじめて降り立ったとき、「ここは本当に都内か」と首を傾げたのを覚えている。それは日も沈んで夕闇につつまれるころ。駅前は、圧倒的に暗かった。

 それまで住んでいた西東京市から引越するために、三鷹や調布、稲城市あたりを訪ねている時だった。われわれ夫婦の条件は、家賃を考えて各駅停車の駅、そこから徒歩10分以内の物件。西武線と京王線の二路線を利用できる白糸台エリアは魅力的だった。

 武蔵境からはじめて乗った西武多摩川線は、慣れ親しんだ西武線とは違い、車内の乗客も少なかった。そして、白糸台駅。現在でも一日の乗降客数は5500人前後で、都内の私鉄の駅の中でも少ない方ではないか。駅前には八百屋と美容院が数軒。夜になればホームからは住宅の明かりと街灯が見える以外、静かな闇が広がっている。

 その光景が忘れられず、ここに引っ越しを決めた。夜が暗い。それはかけがえのない魅力だ。かつて住んでいたある街では、何時に帰っても駅から家まで明るかった。安全でいいことだが、24時間明るい東京では静かな夜も恋しくなる。さらに白糸台駅は、昼間のホームも穏やかだ。すばらしい駅である。会社帰りにお使いを頼まれる夫は文句を言うが…。

(中村綾子)