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作成日 2016.08.07

この記事の分類 府中絵日記, 美術・工芸

画家・新海覚雄の軌跡

府中市美術館の新海覚雄展2016年8月7日(日)
 府中市美術館で、多摩地域を舞台にした美術史の一端を紐解く「燃える東京・多摩」と題した企画展が開かれていると聞いて、散歩がてら立ち寄った。ちょうど学芸員の解説付き鑑賞ガイドが始まるところで、ロビーに集まっていた40人ほどの群れに混じり、私もついていくことにした。

 新海覚雄という画家は姓も名も少し変わっているから一度聞いたら印象に残る筈だが記憶が無い。初めて聞く名前だ。どういう絵を描くのかも、どういう人なのかも知らなかった。年譜によると1904(明治37)年生まれで、1966(昭和43)年に死去している。砂川闘争など、社会運動に寄り添うような絵を残した。

 メッセージ性の強い社会運動の絵画はパターンに嵌まりすぎておもしろくないという先入観があり、あまり興味はなかったのだが、農民や労働者の個性がよく出た顔つきや、大正ロマンを髣髴とさせる女性像など、眺めていて飽きない絵もいくつかあり、収穫だった。

 今回の企画展で借り集められた作品の中には、保存が悪くてヒビが入っているものもあったらしいが、埋もれたままにしておくのは惜しい。今回の企画をきっかけに発掘されたことを素直に喜びたいと思う。

(田中則夫)