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作成日 2019.08.01

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

遠ざかる昭和

移転する畳屋さん

2019年8月1日(木)

 称名寺と合同庁舎に挟まれた通りは道幅が狭く、北も南も突き当り気味になっている。塀の向こうは墓地だし、どちらかというと地味な裏通りという風情だった、少し前までは。合同庁舎が平成26年に建て替えられ、この春には称名寺の北側に道路も新設され、様子が一変した。明るく開けた感じになった。

 同時に、昭和を連想させる家並みも姿を消しつつある。今日も畳屋さんの前を通ったら、ガラス戸が全部しまり、黒いカーテンが引かれていた。数日前に作業台やら道具などの片付けをしていたので、もしかしたらと予想はしていたのだが、案の定、移転を知らせる張り紙。

 この店は日中いつも開け放されていて、職人さんの働く様子が見えていた。覗き見するつもりはさらさらないのだが、ときには茶の間でテレビを見ているらしいご家族のシルエットが目に入ることもあった。つい数ヶ月前には節句の五段飾りがガラス越しに覗けて、通りすがりの赤の他人ながら「お孫さんですか」と声をかけたくてたまらない気分になったものだ。

 手書きの「昭和27年以来長い間(65年間)お世話になりました」の文字を見た途端、ジンときた。長い物語が、自分自身の人生と重なりながら、脳裏に浮かんでは消えた。

(関口まり子)