シネマの誕生 | 府中まちコム
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作成日 2021.10.23

この記事の分類 府中絵日記, 映画評

シネマの誕生

2021年10月23日(土)

3D映画を最初に見たときは驚きだった。爆発シーンや拳銃の撃ち合いで、目の前のものが飛んでくるような感じが、一瞬目をそむけたくなるような反応になって、ついつい顔を横に動かしてしまった。

同じような体験の様子が、マーティン・スコセッシ監督の映画『ヒューゴの不思議な発明』に写っている。19世紀(1895年)リュミエール兄弟製作の手回し映写機によってスクリーンに投影された映像(列車が正面にむかってくる場面)に、観客が左右に顔と体を大きく動かすシーンだ。

当時の人はさぞかしびっくりしたんだろうなと思っていたが、当時の人達と同じ経験を3D(メガネ)でするとは思っていなかった。

映画は、その後(1902年)にジョルジュ・メリエスが制作した映画『月世界旅行』で、人面の月の目に突き刺さったロケットの映像でイリュージョンのおもしろさを見せてくれた。

その古き懐かしい歴史的背景をマーティン・スコセッシ監督は映画の中でわかりやすく見せてくれた。監督は「3D映画は観客とキャラクターの絆を深めてくれる手助けになるよ」と語っていたが、今は3D映画を映画館で見る機会はほとんどなくなって、少し寂しい気分だ。これも時代の流れかな…。

(佐藤基容志)