府中郷土の森博物館の水車小屋 | 府中まちコム
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作成日 2022.06.11

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記

府中郷土の森博物館の水車小屋

2022年6月11日(土)

あじさい祭り開催中の郷土の森博物館へ。土曜日でなかなかの賑わい。静寂を求めて人影まばらな方へと進んで行くと水車小屋の裏手に出た。

府中に越して来たばかりの頃、散歩中に出会った地元の人から、昔は水車屋に粉を持参して挽いてもらったと聞いたことがある。
「ここら一面はワサビ田だったんだよ」との言葉に黒澤明の映画『夢』を連想した。ロケ地は安曇野だが、府中も昔はあんな感じだったのだろうか。

興味をおぼえ、ネットを検索したら小坂克信という人が書いた論文を見つけた。よくまあ調べたものだと感心したが、研究対象地域は野川流域の6市1区で、残念ながら府中市は対象外。

「府中町経頭(きょうず)の五郎右衛門」「府中の乙治郎」という名が出てくるが、水車の経営は順調ではなく経営から手を引いたとある。水車経営とは、農家から仕入れた小麦を加工して江戸の問屋に卸すのが仕事で、その価格をめぐって問屋とトラブルが起きることもあったらしい。

まだ電力が普及していない昔、水車は穀類の精白や製粉だけでなく火薬製造工場としても機能したという。水車小屋と聞くと映画のシーンのように美しい情景が思い浮かぶが、生々しい現実も存在したのだなとあらためて感じた。

小坂克信氏研究論文(2008年)
「地域の食生活を支えた水車の技術 ―野川を中心にー」

(関口まり子)