惜しまれながら死んでいく | 府中まちコム
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作成日 2023.12.11

この記事の分類 府中絵日記, 自然・動植物

惜しまれながら死んでいく

2023年12月11日(月)

中央文化センターに行く途中、桜通りの交差点で立ち止まった、その眼の前に、胴体を切られた桜が遠近法の見本のように先へ、先へと続いている。振り向けば、甲州街道の府中警察署から府中公園へと向かって来る道の桜もみな、みごとに胴体真っ二つ。

会合の部屋に入ってくるメンバーが申し合わせたように言う。
「あれ、見ましたか、なんと言うか、不気味な感じですよねえ」

地面に杭を刺したように桜の下半身が並んでいる光景に悲哀を感じるとしたら、それはたぶん、満開の桜の下で飲んだり語り合ったりした楽しい、あるいは切ない思い出がそれぞれにあるからだろう。

「ソメイヨシノは接ぎ木で植えられたクローンだから死ぬときもみんな一緒です」とおっしゃる人もいるが、生まれるときも死ぬときもそれぞれ違う方がいいのかも、いやそれではロマンに欠けるのかしら。

(関口まり子)