三宮麻由子著『わたしのeyePhone』(早川書房)を読む | 府中まちコム
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作成日 2024.07.28

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三宮麻由子著『わたしのeyePhone』(早川書房)を読む

2024年7月28日(日)
スマホの進化がめざましい。あるときはカメラ、翻訳機、万歩計、財布、ときに手鏡。もっと便利な機能があるらしいと知って『わたしのeyePhone』のページをめくってみた。

著者は4歳の頃に視力を失った。目の見えない人が一人暮らしを続けるには、さまざまな「これってどうよ」という出来事が頻発する。郵便受けに入っている紙が捨ててもよいチラシなのか重要なお知らせなのかわからないとか、レトルトカレーを食べてみたら超激辛だったとか、見える人には思いも寄らないような戸惑いの数々。

困った事態になったときにスマホはどう役に立つのか、どう使えるのか。読み上げ機能が備わっているのは知っていたが、画面に並ぶ小さなアイコンをどうやって選択するのかなど興味津々。数々の問題を解決していく姿勢が前向きで気持ちよく、一気に読み進んだ。

だが、この本を読んで目が開かれる思いがしたのは、スマホの便利機能を知ったからではない。これらの機能を使えるようになったおかげで、日常生活において誰かに何かをしてもらう立場から、誰かに何かをしてあげる側になれたということ。生活の質が変わることで自信と尊厳が確かなものになっていくということ。考えさせられた。

(関口まり子)