映画ざむらいの心意気 ー 『侍タイムスリッパー』 | 府中まちコム
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作成日 2024.11.03

この記事の分類 府中絵日記, 映画・演劇

映画ざむらいの心意気 ー 『侍タイムスリッパー』

2024年11月3日(日)

幕末の侍が現代にタイムスリップするという映画がおもしろいらしいからと友人に誘われて「府中TOHOシネマズ」へ。よくある時空旅行物語だろうと、あまり期待もせず出かけたが…。

主人公の会津藩士は長州藩士と斬り合ううち、雷に打たれた拍子に京都の時代劇撮影所に移動してしまい、成り行きで斬られ役専門の俳優として生きていくことになる。

論語をそらんじる教養や道徳的修養を積んだ武士らしく、迷い込んだ時代を冷静に察知し、新しい環境に適応していく力を備えた彼はその才を認められ、やがて大物俳優の相手役として抜擢される。その大物俳優こそはかつて刀を交えた相手で、やはりタイムスリップして現代人として30年も暮らしていた。衰退しつつある時代劇映画の復活を期して、二人は一世一代の殺陣演技に挑む。

子供の頃、映画といえば時代劇。よくチャンバラごっこで遊んだものだが、映画制作の舞台裏など想像したこともなかった。大変な仕事だと今更ながら知った。時代劇に限らず劇場映画は斜陽とよく言われる。お先真っ暗のイバラの道。「それでも生きて」いこうとする気迫に満ちたサムライ達(映画人を含む)の姿にひとすじの希望が見えた気がした。

(田中則夫)