「お腹が空いたら僕を食べて」と頭を差し出すアンパンマンの思想 | 府中まちコム
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作成日 2025.04.10

この記事の分類 府中絵日記, 映画・演劇・TV

「お腹が空いたら僕を食べて」と頭を差し出すアンパンマンの思想

2025年4月10日(木)
ラジオ深夜便で朝ドラ「あんぱん」の脚本家中園ミホさんのインタビューを聞いた。中園さんは10歳の時からしばらくアンパンマンの作者、やなせたかしさんと文通していたという。父を亡くした中園さんにやなせさんの詩が響いて手紙を書いたのがきっかけだった。

「何のために生まれて何をして生きるのか」
アンパンマンの主題歌の問い。やなせさんは繰り返し語っている。
「正義は時によって変わるけれどひとつだけ変わらないものがある。それはひとつのアンパンが人に希望を与えるということだ」

晩年のやなせさんと糸井重里さんの対談にこんなことが書かれていた。震災でアンパンマンの声優たちを慰問に送って自分が広告塔として歌うようになった。
「歌詞もただ働きですよ。でもこの子達がキャラクターで稼いでくれたので続けられた」

子ども時代のたかしや後の妻のぶの前に現れた阿部サダヲ演じる放浪のパン職人?屋村(通称ヤムおじさん)はアンパンを高く売りつけようとしながら実は情に厚く子どもたちには優しい。それはどこかやなせさん本人を思わせる。

これから戦争の時代へと向かう朝ドラ「あんぱん」だが、ヤムおじさんが成長したふたりの前に現れてお腹を空かせた人に自分の頭を食べさせてくれるアンパンマン誕生にどうかかわるのか、興味深く見守りたい。

(絵と文 小嶋伸一)