府中市美術館の「春の江戸絵画まつり かっこいい油絵」展 | 府中まちコム
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作成日 2025.04.15

この記事の分類 府中絵日記, 美術・工芸

府中市美術館の「春の江戸絵画まつり かっこいい油絵」展

2025年4月15日(火)
府中市美術館で司馬江漢や亜欧堂田善など江戸時代の画人の作品を「かっこいい油絵」と題して展示中。

表看板に使われている田善の『両国図』はよく見ると実に奇妙だ。中央の二人の顔は何となく日本人離れしているし、右端の女性は極端に小さい。胸をはだけているが子どもではなさそうで、敷物らしい物を抱えているが、職業不詳。まるでデータ不足のAIに描かせたコラージュのようだ。が、妙に惹きつけられる。

鎖国が続いた江戸時代、外国の文化に触れる機会が少ない中、好奇心と意欲の旺盛な絵師達は西欧の絵画や図鑑などに衝撃を受け、研究し、模倣し、独自の技法を編み出す。従来の日本画には見られない遠景を加えるなどの創意工夫が、後の絵画の発展につながったという。

なるほど、だから「かっこいい」のか。だが、解説文の多くに見られた「かわいい」という用語はピンと来なかった。何にでも「かわいい」を連発する女性と日頃接しているせいか、それとも歳のせいか。

そう言えば、壁伝いに作品を眺めていくと展示室の入口に戻ってしまい、順路がわからなくなった。現在地と順路を明示した会場全図を入口近くに掲示してくれるとありがたい。これも年寄りの独り言。

(田中則夫)