須藤靖著『AIなき世界に戻れるか?』を読む | 府中まちコム
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作成日 2025.11.15

この記事の分類 府中絵日記,

須藤靖著『AIなき世界に戻れるか?』を読む

2025年11月15日(土)

生成AIをめぐる話題が功罪とりまぜ報道されぬ日はない。しばらく前に放映された「亡き人と話せたら AIがひらく危うい世界」というドキュメンタリー番組も衝撃だった。生前のデータをもとに死者を蘇らせるというその技術は一見すばらしい。「死に目に会えなかった」とか「もっと優しくしてあげればよかった」などの負い目を感じている遺族が故人と再会し、対話することで慰めを感じることもあるだろう。だが、そのサービスは有料である。はまってしまった人は利用停止に罪悪感が生じて契約解除ができなくなってしまう。業者は善意でやっているとせせら笑っているが、おいしい商売というわけだ。

関心のある古代史の問題をChatGPTに尋ねてみたら、わかりやすく整理された解説が即座に返ってきた。しかも別の問題点まで気付かせてくれた上、最近の知見も教えてくれた。長い時間をかけて苦労したこれまでの勉強はいったい何だったのかと思うと同時に、生成AIに関する疑問が広がった。

『AIなき世界に戻れるか?』は生成AIの単なる解説本ではない。マルチバースや宇宙論など、話題が縦横無尽に展開する。本を読む楽しさを久しぶりに味わった。難しそうな部分はすっ飛ばしてしまったが、今や社会のあらゆる部門でAIが使われ、これなしでは世界は成り立たないということだけは納得。読み終わって行き着いたのは「人間とは何か」という問題。でも、AIに聞く気はしない。

(田中則夫)