「サステイナブル」展 ー 湯浅八郎記念館  | 府中まちコム
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作成日 2025.10.12

この記事の分類 場所・施設, 府中絵日記, 美術・工芸

「サステイナブル」展 ー 湯浅八郎記念館 

2025年10月12日(日)
国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館へ。ツギハギだらけのボロ着やボロ布が展示されていると知って、野川あたりを散歩がてらちょっと覗いてみようかなと出かけたら、構内ではちょうど学園祭が開かれていて、ずらりと並んだ模擬店に人だかりができていた。

祭りは素通りして記念館に直行したが、こんなに遠かったかと溜息が出た。我が身の老いを思い知る。ボロや古道具に愛着を感じるのも、その所以か。

たくさんの糸や裁縫道具を姑から引き継いだのはもう何十年も前のこと。昔の人は古裂や屑糸も無駄にせず再利用していた。糸はさすがに劣化して引っ張ると切れてしまうのだが、捨てるに捨てられないのは、それらが姑を思い出すよすがだからなのかも知れない。

姑が遺した着物は何箇所も継ぎが当てられ、丁寧に繕われていた。「サステイナブル」展の副題は「物のいのちを考える」となっているが、展示されている衣類や寝具の中には驚くほどカラフルで新鮮なものもあり、単なる再利用という領域にとどまらない趣が感じられた。

そうだ、しまいこんでいた母や姑の着物をほどいてパッチワークに再挑戦しよう、と奮い立ったが、また挫折するかも、と言うか、そもそも着手しないかも…。老いの哀しみ。

(関口まり子)