時の流れゆくままに・13 | 府中まちコム
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作成日 2022.03.13

この記事の分類 府中絵日記, 随想

時の流れゆくままに・13

2022年3月13日(日)

ここ2年ほど、府中市プラッツ6階会議室において、1ヶ月半に1回ほどのペースで「日本一役に立たない教養講座」という風変わりな自主講座が開かれている。そして、私自身も「リベラルアーツの会」というその主催グループの一員として、折々講師を務めている。

去る2月5日には、紀行作家の一面をもつ自らの体験に基づき、「旅の経験を介して日本の民俗文化を考える(前篇:新潟~山形の道)」という講座を実践した。また、来たる3月18日には同じテーマでの講座(中篇:山形~秋田~青森の道)を、さらに4月30日には(後篇:青森~岩手~宮城~山形~福島の道)を開催する運びになっている。 

もう三十年近く昔のことになるが、作家水上勉の作品70点余の挿画を担当したことでも知られる故渡辺淳画伯と私の二人は、思うところあって、東北地方で成り行き任せの貧乏旅行を敢行した。その旅はまた、「奥の脇道放浪記」とでも呼ぶに相応しいものでもあった。

望外の発見や珍事に満ちたその道中記は、かつて存在した朝日のAICというウエッブ上で連載された。その一連の紀行の挿絵が渡辺画伯によって描かれたことは言うまでもない。芭蕉と曽良の「奥の細道」の旅に見る品格などにはおよそ無縁な、文字通りの珍道中ではあったのだが、日々忘れ去られてゆく各地の文化や風物を再認識するにはこの上ない旅ではあった。そこで、今般改めてその体験談を講座で披露することにしたような次第である。

紀行文体のレジュメなども用意してあるので、関心のある方々には是非ともご参加願いたい。それなりの識者の参加もあることゆえ、ちょっとした出合いの場にもなり得るだろう。

(文・本田成親 絵・渡辺淳)