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随想

時の流れゆくままに・10

2021年12月13日(月) ――恋愛とは美しき誤解であり、誤解であっても差支えありませぬ。そして結婚生活とは恋愛が美しき誤解であったといふことへの、惨憺たる理解であります。――  この辛辣そのものの一文は、私がまだ学生…

時の流れゆくままに・9

2021年11月13日(土) 仲秋の名月の観られた夕刻のこと、私は関戸橋下流側の多摩河原に出向き、水辺近くの草叢脇に独り坐り込んで望月が昇るのを待つことにした。東の空には幾らか雲はかかってはいたが、幸いにも、薄雲の大きな…

時の流れゆくままに・8

2021年10月13日(水) 小学4年生の孫を連れて久々に奥多摩の日原鍾乳洞へと出向いた。その地を訪ねるのは何十年ぶりのことになるだろうか。コロナ禍の世相の下であるにもかかわらず、車のすれ違いも容易でない日原渓谷奥の狭く…

時の流れゆくままに・7

2021年9月12日(日) 暗闇について愚見を述べたが、実を言うと、昔ながらの闇夜は最早国内には殆ど存在しなくなっている。日本アルプスのような高山地帯や青木ヶ原のような深い森林地帯であっても、頭上に広がる天空は昔日のそれ…

時の流れゆくままに・6

2021年8月13日(金) 高齢者の世界入りした今となっては、夏の真昼の直射日光の猛威には耐え難い。中学生時代まで、熾烈そのものの陽光の降り注ぐ南国の離島において、全身真っ黒に日焼けしながら育ったこの身にしてもそんな有様…

時の流れゆくままに・5

2021年7月13日(火) 先日久々に農工大周辺を歩いてみたのだが、40年近く前に大学南門そばの一隅に住み着き、長年その地で過ごした身としては懐かしいかぎりであった。当時の南門一帯には放し飼い状態の鶏が多数棲息しており、…

時の流れゆくままに・4

2021年6月12日(土) 地球上において傲慢に振舞う人間どもを戒めるべく、大自然の摂理が折々遣わすウイルスという名の密使は、執拗に人体に取り憑き、その命を奪うことも厭わない。1個体としては短命であるが、凄まじい繁殖力と…