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随想

時の流れゆくままに・39

「天使の辞典」草稿より抜粋 (ウイルス)地球上にあって偉そうに振舞う人間どもの傲慢さを諌めるために、折々大自然から遣わされる隠れた使者であり、人間に憑依(ひょうい)しその命を奪うことをも厭わない。一個体としては短命である…

時の流れゆくままに・38

明治期の海外名著のひとつに、米国の作家、アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」という作品がある。あの大文豪、芥川龍之介も原書でそれを愛読したというほどに著名な作品ゆえ、辛辣な風刺の数々に溢れるその内容については、今更私が述…

時の流れゆくままに・37

去る2月5日の午後から、関東一帯は久々の大雪に見舞われた。夜になると近隣の木立や家々の屋根はすっかり白銀のベールに包まれ、周辺の道路は一面雪の絨毯に覆われた。老いた身であることを思うと、普通ならそのままじっと家に籠って、…

時の流れゆくままに・36

2024年2月5日(月) 能登半島一帯が最大震度7にも及ぶ大地震に襲われ、甚大このうえない被害に直面してからもう1ヶ月余が経過した。被災者の方々のために何かしらお役に立ちたいという気持ちだけはあっても、既に老いの八十路入…

時の流れゆくままに・35

特段の意図もなく昨今の世相にあれこれと想いを廻らしているうちに、何故か突然、「汚染」という言葉が脳裏の奥から湧き上がってきた。この言葉は、一般的には、放射性物質や有毒化学物質などが、人間社会や自然界へと広く拡散することを…

時の流れゆくままに・34

ウクライナとロシア、さらにはイスラエルとハマスのあいだで絶え間なく繰り広げられる凄惨な事態は、日々その惨劇の度合いを深めゆくばかりである。一人の人間として己の無力さを痛感はするものの、だからといって、敢えてそんな状況に立…

時の流れゆくままに・32

深夜の午前1時、多摩河畔の南の空高くには美しい満月が輝いている。こんな時間に多摩河原へとやってきたのは、それなりの訳があったからである。中学生時代まで鹿児島県の離島暮らしをしていた私は、明るい月光に照らされてくっきりと地…